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森英恵のトレードマークが「蝶」になったわけ

日本のデザイナーたちの中でも、屈指の知名度を誇る森英恵。青春時代を戦争のさなかにすごし、戦後、大学卒業と同時に結婚したが、主婦業にあきたらず、洋裁学校に通いだして、デザインの世界に足を踏み入れた女性である。そのトレードマークとなっているのは「蝶」だが、どうして蝶をトレードマークとしているのだろうか?堀江瑠璃子さんの『時代を拓いたファッションデザイナー』によると、はじめてニョーヨークにいったとき、デパートの地階で、日本製の安っぽい蝶のブローチを見かけたのがきっかけらしい。それを見て悲しくなり、自分が、美しい蝶、エレガントな蝶のイメージをつくらなくては……と、心に決めたのだという。彼女は、島根県の六日市町に生まれ、小学校4年で上京するまで、ダイコン畑にモンシロチョウが、菜の花畑にモンキチョウが飛びかう自然の中で育つたというから、ことさらそう思ったのかもしれない。とはいっても、いわゆる蝶マニアなどとはちがって、蝶の生態や種類などに興味があるわけではない。かつて、外国人記者に、蝶についてたずねられたとき、「わたしが興味をもっているのは、蝶の美しさとはかなさだけ」と答えたという。現在、パリコレクションの先端をはしるのは、三宅一生や川久保玲、山本耀司だが、オリンピックの日本代表選手団のユニフォームをつくるというようなときには、安心と実績が買われてか、森英恵が選ばれている。