ラグジュアリーブランドショップのお客様には、忙しくて時間的にタイトな方がたくさんいらっしゃいます。なので、この顧客名簿は、その場にいあわせたどのスタッフが見ても、同じようにそのお客様のことを理解できるものにしておく必要があると私は思っています。そして、たとえ担当のスタッフが不在のときでも、迅速に対応できるようにしておく、これこそがサービスだと思うのです。このために、たとえば、通常は品番だけを名簿に記録しておくお買い上げ商品を、特徴をとらえた簡単なイラストで描いておきます。品番だけでは即座にはわからないものも、スカートなのかトップスなのか、無地のものか柄物か……イラストであれば、どのスタッフが見てもひと目でわかります。もっともこれも、ラグジュアリーブランドショップだからできることかもしれません。カジュアルブランドのショップに一日においでになるお客様の数の多さは、ラグジュアリーブランドの比ではないからです。ラグジュアリーブランドショップにおいでいただいて、お買い上げにまで至るお客様の数は、一日にひとり、といったところです。ショップによっては、売上がゼロという日が数日続いてしまうこともあります。でも、この売上ゼロの日に100パーセントの接客をすることが、後日、大きな売上となって返ってくるのです。ですから、むしろゼロの日のほうが接客は忙しい、と言ってもいいでしょう。そのためにも顧客名簿は常に充実させておく必要があります。お客様が喜ぶ話題やおすすめコーディネートなどのヒントが詰まっているからです。