ニューヨークのバスターミナルで、麻薬犬がウロチョロする中、ホームレスの人たちと一晩中寝転がって話をしました。カリフォルニア州の、メキシコ国境近くにあるサンディエゴという街に滞在していたときは、海軍基地のそばのYMCAのドミトリーに宿泊していました。この辺はダウンタウンの少しばかり柄の悪い地域で、YMCAの入り口にはいろいろな種類の人たちがつねにたむろしている状態。私はコインランドリーで洗濯が終わるのを待ちながら、階段に座っていろいろな人の話を聞きました。中でもいちばん仲良くなったのは、身長が2メートル近くある、ジェイというあだ名の黒人の大男。彼は、決して恵まれた環境に育ったとはいえませんでしたが、非常に勤勉で、ボランティアで大学の外国人向け英語の授業のアシスタントをしながら、正規の英語教師になろうと奮闘していました。毎日階段に座って彼と話しながら、カリフォルニアのこと、人種差別のこと、英語のこと……などなど、教科書では絶対に学べないアメリカについて多くのことを知ることができました。また、「いつか日本に行って英語を教えたい」という夢を持つ彼からは、日本についてさまざまな質問をされ、悪戦苦闘しながら答えるうちに、どんなにアメリカ人ぶっても、ここでは自分は「日本人」なのだと実感。にもかかわらず、日本のことをまったく知らない自分に気がつき、恥ずかしかったことを覚えています。
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