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ジョークの効用

アメリカ人の発表を聞いていて感心するのは、緊張を和らげるために、最初にうまい形でジョークを使っているという点です。それに比べると、日本人の発表は、大家であるにもかかわらず、ひどく言い訳がましいことばかり言って、卑屈に聞こえる人さえいます。「私はこの分野について昔は研究していましたが、最近は不勉強です。しかし、本学会会長のA先生からのご指名がありました。先生には昔から大変お世話になっていますので、仕方なく出てきました。新しいことは何も言えないと思いますが、ご勘弁願います」などと延々と話し始める人がいます。謙遜は日本人の独特のスタイルかもしれませんが、もしもその人が断っているように、大した発表でなければ、話し始めれば聴衆がすぐに気づくはずです。したがって、こういった言い訳めいたことを発表の前に言うのはルール違反ですし、時間の無駄です。こういう人に限って、制限時間がきてもいつまでも延々と話し続ける傾向があります。それならば、軽いジョークでも言って、早速、本題に入ればよいと思います。謝罪ばかりしている日本人と、ジョークから始めるアメリカ人、こういった文化差を指摘して、私は発表を始めることがあります。「私はアメリカに滞在していたときに、アメジカ人がジョークを言って話を始めるという習慣に気づいて、感心しました。日本人は謝罪や言い訳から始めることが多いからです。そこで私も一生懸命、今日の発表のためにジョークを、一晩寝ないで考えてみました。でも、よいジョークを思いつきませんでした。ごめんなさい」などと言うと、アメリカ人のジョーク好きと日本人の謝罪好きというのがミックスされて、それ自体がジョークになって大いに受けたことがあります。なお、場にそぐわない、あまりにも無理な冗談を言う必要はまったくないので、最初から最後までまじめに通して日本人らしくやるのもひとつの方法だと思います。しかし不必要な謝罪や言い訳はやめてください。