宝飾品は4〜5年などではなく、これから先、子や孫、そして曾孫の代までも使用できる商品なのに、ダイヤモンドの各部分(キューレット・スター・ファセットなど)の名称さえ答えられず(これは車であればハンドル、タイヤ程度の知識に相当するものです)、ましてや、硬度や靭性(このレベルでやっと、馬力やトルクの説明程度)についての正確な知識もない、なんちゃって宝飾専門商から、宝飾品を購入しなくてはならない日本の消費者は不幸としかいいようがありません。おそらく、時計屋さんに腕時計の電池交換やベルト交換を依頼して、できない店は皆無でしょう。しかし、それと同等レベルの修理・サービスに当たる真珠のネックレスの糸交換やネックレスの引き輪やプレート交換もできない店が多いのには驚かされます。日本で宝飾品販売に従事する多くの時計・眼鏡店は宝飾品を愛している訳でもなく、哲学もなく、単に流通の中で時計卸が宝飾品を取り扱ったからという理由だけで、店に宝飾品を並べた店がほとんどです。「専門店」と呼ばれるには、宝飾品を愛し、宝飾品を伝えていく上での哲学・ポリシーを持つことが大切です。日本全国にあるデパートも含めて、ガソリンスタンドまでを数に入れると宝飾品小売に関わる会社は4万社以上もあると考えられますが、残念ながら真に「専門店」と呼ばれる資格がある店は1000社にも満たないでしょう。他の大勢は単に宝飾品を店に並べるだけの「宝飾品取扱店」であり、バス会社やガソリンスタンド、一部の呉服店、洋装店などは、自社で宝飾品の在庫を持つリスクさえ回避して、キャンペーンや展示会などの時にだけ、宝飾卸業者に人も商品も借りて商売をする「宝飾品取次店」と呼ばれる存在です。皆さんには、大切なお金をこのような「宝飾品取扱店」や「宝飾品取次店」に騙し取られることのないように、本書や巻末の参考書を熟読の上で、真の「宝飾品専門店」を選び、間違いのない宝石選びをしていただきたいと願います。良い国家、政治家を作り出すものも国民ですが、同様に「真の良心的な宝飾品専門店」を作り出すのも素人の賢いお客様なのです。